2014年05月16日

◆祖父岸元首相からの宿願

〜集団的自衛権:憲法解釈変更〜

<毎日新聞 (最終更新2014年 05月15日 22時28分)>

安倍晋三首相が15日に意欲を示した集団的自衛権をめぐる憲法解釈の変更は、対等な日米関係を目指した祖父の岸信介元首相からの宿願だ。「首相の執念がなければ、ここまで来られなかった」(官邸関係者)との指摘は多い。

 「7年の年月、長きにわたりご苦労も多かったと思う」。首相は15日、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)の報告書提出を受け、委員をねぎらった。第1次政権での懇談会設置は2007年4月。福田政権下の08年に出した報告書はたなざらしになったが、今回は自らの手で報告書を受け取った。

 岸元首相は1960年3月の参院予算委員会で、「他国に基地を貸して自国を守ることは従来、集団的自衛権と解釈されている」と発言した。集団的自衛権行使の道を残すことで、安保政策の幅を広げる狙いがあった。しかし、政府は72年、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」と明確化して、集団的自衛権の行使容認論を封印した。

 政府の解釈に対して、首相は若手議員の時代から挑んできた。衆院当選2回の99年の国会質問では、憲法解釈を「極めて珍妙な新発明だ」と激しく批判した。

 首相の思いを後押ししてきたのは、行使容認を目指す外務省を中心とする勢力。安保法制懇座長の柳井俊二元駐米大使や岡崎久彦元駐タイ大使らは就任前から首相を囲む勉強会を開き、理論的な支柱となってきた。

 首相はそもそも、憲法9条の規定は自衛のための武力の行使を禁じていないと考えていたとみられる。こうした考えに基づけば、国連安保理決議によって設置された多国籍軍への参加などが可能になり、全面的に行使が容認されることになる。安保法制懇の議論も、こうした考え方を中心に行われてきた。

 だが、首相は今年2月の衆院予算委員会で、「個別的自衛権にも制約がある。集団的自衛権でそれが外れることはない」と語り、「限定容認」で理解を求める立場を明確にした。限定容認に転換した背景には、全面容認では公明党の理解を得られないことや、従来の政府の憲法解釈との整合性が取れないとの判断に首相が立ったからだと見られる。

 「限定的」とはいえ、行使容認に突き進む首相。政府関係者は「首相は行使容認を政権のレガシー(遺産)にしようと考えている。公明党が慎重でもやれるうちにやろうとするだろう」と語った。【村尾哲】

◆武器使用認める提言、打ち消す

〜首相が当日に〜

(2014年05月16日 03時49分  読売新聞)

安保法制懇は15日の報告書で、多国籍軍への参加や国連平和維持活動(PKO)での武器使用などを全面的に認めるよう提言したが、安倍首相は、これらの集団安全保障に関する提言は採用しないことを明言した。

懇談会が報告書を提出した当日に提言内容を打ち消したのは、「地球の裏側で戦争ができる国になる」といった批判が広がりかねないと懸念したためだ。

 「自衛隊が武力行使を目的として、湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、これからも決してない」

 首相は記者会見でこう強調した。PKOなどの集団安全保障の場合でも、自衛隊が行う活動には憲法9条の制約がかかるというのが、現在の政府の憲法解釈だ。

◆集団的自衛権行使へ転換

 〜首相、憲法解釈変更に意欲〜

(2014年5月16日03時00分  朝日新聞)

安倍晋三首相が、他国のために自衛隊の武力を使う集団的自衛権の行使に向けて踏み出した。15日に記者会見し、憲法9条が禁じる武力行使にあたるとされてきた集団的自衛権の行使を検討する考えを表明した。

 首相は「限定的」と強調したが、現実には自国の防衛に専念してきた戦後日本が、海外での戦争に参加できる道を開く安全保障政策の大転換だ。首相は憲法解釈の変更での行使に意欲を示すが、憲法の根幹を一内閣の判断で変えるという重大な問題をはらむ。

■基本的方向性を発表

 首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が15日、首相に報告書を提出。これを受けて、首相は同日夕、政府の考え方を示す「基本的方向性」を記者会見で語った。

 首相は会見で、安保法制懇が「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許される」と提言したことに触れ、歴代内閣は行使を認めてこなかったが、「従来の政府の基本的な立場を踏まえた提言だ。今後、さらに研究を進めたい」と述べた。与党との協議が調えば、行使を可能にする憲法解釈の変更を閣議決定する考えも明言した。

 首相は「日本国憲法が掲げる平和主義はこれからも守り抜いていく」と述べた。その一方で、行使容認を検討する理由について、「抑止力が高まり、紛争が回避され、我が国が戦争に巻き込まれなくなる」と説明した。(冨名腰隆、園田耕司)

2014年05月15日

◆首相、安保法制懇から報告書

〜憲法解釈見直し〜

(2014年05月15日 14時48分  読売新聞)

安倍首相は15日午後、政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」に出席し、集団的自衛権行使の憲法解釈見直しなどを提言する報告書を柳井俊二座長から受け取った。

首相は柳井氏らに対し、「我が国の安全保障環境の変化を踏まえ具体的な事例を検討し、有益な提言だけでなく、国民の皆さんの関心を深めてくれた。国内外の理解を促進し、議論を更に深めていきたい」と述べた。

 首相は国家安全保障会議(日本版NSC)4大臣会合を開いた後、同日夕に記者会見し、新たな法整備や憲法解釈見直しに関する「基本的方向性」を表明する。

2014年05月14日

◆首相、「方向性」で批判回避

〜特定秘密を反省から

(2014年05月14日 12時27分  読売新聞)

安倍首相は、集団的自衛権行使容認に向けた安保法制懇の報告書と同じ日に、憲法解釈見直しの検討に関する「基本的方向性」を明らかにする方針だ。

 昨年の特定秘密保護法の審議で、歯止めがあいまいだった当初の法案への批判が噴出した反省を踏まえ、政府・与党として検討する対象を絞り込んで不必要な批判を受けないようにする狙いからだ。

 安保法制懇の報告書では、集団的自衛権行使については政府とほぼ同じ限定容認の考え方を示す。一方で、国連平和維持活動(PKO)での武器使用などの集団安全保障への取り組みを巡っては、「日本が主体的に関係する国際紛争」でなければ武力行使に当たらないとして、武器使用を全面的に認めるよう求める方向だ。

 こうした解釈が採用されれば、武力行使を行う多国籍軍への参加や戦闘地域での支援活動もできるようになり、政府のこれまでの憲法解釈とは大きく異なる。

 政府は、「駆けつけ警護」などの国際的な武器使用については、〈1〉現地政府から、警察権を補完する活動を行うことについて同意を得ている〈2〉国または国に準ずる組織からの攻撃がないことが明確である――という条件下で限定的に認める方針で、報告書の提言は採用しない方向で検討を進めている。

 しかし、安保法制懇の報告書を首相が受け取り、そのまますべて検討を約束すれば、解釈見直しの反対派から「戦争ができる国になる」などと批判が噴き出すのは必至だ。

 有識者会議の報告書と同じ日に政府の考え方が示されれば、報告書の価値を下げるとの見方もある。ただ、昨年末に成立した特定秘密保護法の法案審議では、当初の法案を修正したものの、「知る権利の侵害」への懸念が政府の想定以上に広がり、内閣の支持率低下にもつながった。

このため政府は、報告書の内容が「独り歩き」しないよう、政府の検討を超えている部分については、与党に解釈見直しなどの検討を求めない考えを明らかにすることにした。

 解釈見直しに慎重な公明党も、検討の進め方に関する政府の基本的方向性を首相が表明することには、理解を示しているという。

 これに関連し、菅官房長官は13日の記者会見で、「首相として検討の進め方について示すことが極めて大事だ。国民に(向かって)会見をするということだ」と述べた。

2014年05月13日

◆首相「基本的方向性」公表へ

〜集団的自衛権行使〜

(2014年05月13日 11時03分 読売新聞)

菅官房長官は13日午前の閣議後の記者会見で、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈見直しに関し、政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」を15日午後に開き、柳井俊二座長が安倍首相に報告書を提出すると発表した。

提出を受け、同日夕に安倍首相が記者会見を行い、憲法解釈見直しに向けた検討の進め方について、政府の「基本的方向性」を公表する。これを踏まえ、自民、公明両党は、与党協議を本格化させる。

 菅氏は、首相の記者会見について「我が国を取り巻く安全保障環境が極めて厳しい中、どのような形で国民の生命財産を守れるか説明する」と述べ、集団的自衛権行使などが必要と考えられる具体的な事例を示し、国民に理解を求めるとの方針を明らかにした。

 これに関連し、自民党の高村正彦副総裁は13日午前、党役員連絡会であいさつし、「安保法制懇の報告書が出次第、早ければ週内にも与党間協議ができる。しっかりやっていきたい」と語り、行使容認に慎重な公明党の理解を得るため、与党協議に取り組む考えを示した。

 政府は、与党協議で合意が得られれば、6月中下旬にも解釈見直しに関する閣議決定を行う方針だ。

◆75歳まで繰り下げ可能を検討

〜年金受給〜

(2014年05月13日 10時55分  読売新聞)

田村厚生労働相は13日午前、閣議後の記者会見で、基礎年金の受給開始時期を受給者の判断で遅らせ、その分だけ年金支給額を増やせる現行制度について、75歳程度までの繰り下げが選択できるようにすることを検討する方針を明らかにした。

田村氏は、「昨夏の自民党参院選公約にも(繰り下げは)入っている。一つの方法であり、検討していきたい。(開始が)遅れた分の国庫負担は発生しない。後で上乗せ部分が発生するので中長期的にみれば中立だ」と、年金財政に与える影響はないとの見方も示した。

 現在、受給開始は原則65歳だが、最長70歳まで遅らせることができる。1か月繰り下げるごとに年金額は0・7%増え、5年間繰り下げると年金額は42%増える。

2014年05月12日

◆集団的自衛権 報告書提出へ

〜今週後半に〜

(5月12日 5時15分  NHKニュース

集団的自衛権の行使を巡って、安倍総理大臣が設置した有識者懇談会は、今週後半、憲法解釈を変更し、行使を容認するよう求める報告書を提出することにしています。

これを受けて、安倍総理大臣は、政府としての考え方を示し、与党側に議論を加速するよう指示する見通しで、集団的自衛権を巡る動きは、今週、一つのヤマ場を迎えます。

有識者懇談会が今週後半に提出する報告書では、集団的自衛権について、憲法のもとで認められる必要最小限度の自衛の措置に集団的自衛権の行使を含めないとする今の憲法解釈は適切でないなどとして、憲法解釈を変更し行使を容認すべきだと提言します。

そのうえで、行使する際の要件として、▽密接な関係にある国が攻撃されること、▽放置すれば日本の安全に重大な影響があること、▽攻撃された国から明確な支援の要請があること、▽国会の承認を得ることなど、6つを挙げます。

そして具体的な行使の事例として、▽近隣での有事の際にアメリカの艦船を防護することや、▽シーレーン=海上交通路での国際的な機雷の掃海活動に参加することなどが盛り込まれます。

また、国連のPKO活動や集団安全保障について、▽PKO活動に参加するほかの国の部隊が攻撃を受けた場合に、自衛隊が武器を使って救援できるようにする、いわゆる「駆け付け警護」を認めるべきだとするほか、▽国連決議に基づく多国籍軍などの集団安全保障措置への後方支援も容認するよう求めます。

さらに、武力攻撃に至らない侵害、いわゆるグレーゾーンについて、▽ほかの国の潜水艦が水中に潜った状態で領海に侵入し、退去要求に応じない事態などに対して、今の自衛隊法の規定は十分でないなどとして法整備の必要性を指摘します。

そして、安倍総理大臣は、報告書の提出を受けた当日、記者会見し、政府としての考え方を示す方向で調整を進めています。

この中で、安倍総理大臣は、集団的自衛権の行使を容認しなければ実行できないとする事例などを具体的に示し、与党側に憲法解釈の変更に向けた議論を加速するよう指示する見通しで、与党の公明党が行使容認に慎重な姿勢を堅持するなか、集団的自衛権を巡る動きは、今週、一つのヤマ場を迎えます。

◆国会議員、借金が頼り

〜衆参53人「選挙・政治活動に」〜

(2014年5月12日03時00分  朝日新聞)

みんなの党の渡辺喜美前代表による8億円借り入れ問題にからみ、朝日新聞は、当選後の資産報告で借金があるとした衆参議員計347人に、借り入れ目的などを尋ねた。

 少なくとも53人が選挙費用や政治活動に充てるためと回答。渡辺氏同様の借金頼みの広がりが明確となった。議員個人の借金は現在、借入先や借り入れ条件を明かす義務がなく、透明化に向けた法改正の議論が急がれる。

 渡辺氏の場合、化粧品大手ディーエイチシー会長からの8億円借り入れは、会長の「手記」で初めて明るみに出た。今回の53人のうち23人も、具体的に誰に借りたかを明かさなかった。

 政治資金などの公開制度は、たび重なる「政治とカネ」の問題から、収支をガラス張りにする目的でつくられた。資金管理団体などの政治団体は、借入先を収支報告書で示す義務がある。だが議員個人の借金は、借入先が利害関係者などの「スポンサー」でないか、無担保・無利息で事実上の贈与にあたらないかなどの検証ができず、「癒着」の疑惑がぬぐえない。(中村信義、大西史晃)

2014年05月11日

◆維新・みんなの党、会談再開へ

〜連携模索〜

(2014年05月11日 09時42分  読売新聞)

日本維新の会とみんなの党の幹事長・国会対策委員長会談が、13日に再開することが分かった。

定期会談の復活は約1年ぶり。野党再編を進める維新の会は、みんなの党との連携も模索しており、みんなの党の対応が注目される。

 会談では、法案の共同提出や来春の統一地方選での協力などが議題となる見通し。定期会談は昨年5月まで開かれていたが、維新の会の橋下共同代表の、いわゆる従軍慰安婦問題を巡る発言をきっかけに、渡辺喜美前代表が維新の会との対決姿勢に転換するなどして中断した。

 今回の会談は、維新の会が呼びかけた。4月に渡辺氏が代表を辞任したことから、「協力関係が築きやすくなった」とみているためで、野党再編の規模をさらに拡大したい考えだ。一方のみんなの党も、安倍内閣に協力する「責任野党」路線は継承するものの、野党の中での存在感も高めたい考え。

浅尾代表は「どこが一緒で違うのか、各党と議論していくのは意味がある」としており、政策協議には積極的に応じるとみられる。