2014年12月04日

◆無党派取り込む自民

〜伸び悩む民主 衆院選・情勢調査〜

(2014年12月4日05時33分  朝日新聞)

朝日新聞社が実施した衆院選序盤の情勢調査では、自民が単独で300議席を超える勢いだ。自民は無党派層をまとめ、地盤の地方部に加え、都市部でも優勢の選挙区が多いことが、堅調さを物語っている。

一方、共産は議席を増やす勢いだが、民主は伸び悩んでおり、維新などかつての「第三極」に勢いはない。与野党の明暗を分けているのは――。

■自民、比例優勢 都市部も堅調

 比例区で大きく議席を積み増す勢いの自民。その原動力は無党派層だ。

 自民は政権を失った2009年衆院選で比例区で1881万票、55議席を獲得したが、政権を取り戻した前回12年衆院選でも獲得したのは1662万票、57議席で、議席はほぼ横ばいだった。ところが今回は比例区で20議席近く増える見通しになっている。

 投票態度を明らかにした人でみると、自民支持層の9割弱が比例区投票先は「自民」と答えた。無党派層でも「自民」が41%に達し、最も多い。前回衆院選の調査では無党派層の比例区投票先は自民と維新がほぼ並んでいたが、今回は自民に集中している。その結果、自民は大勝した05年の郵政選挙の比例区で獲得した77議席に迫る勢いだ。

 小選挙区でも優位に立つ選挙区が多く、堅調な戦いぶりをしていることが自民の勢いを下支えしている。特に伝統的に地盤としてきた北陸、中・四国、九州だけでなく、都市部の選挙区でも議席を維持する見通しになっている。

 今回、朝日新聞社が情勢調査を実施した150選挙区を都市規模に応じて「都市型」50、「中間型」50、「地方型」50に分類したところ、自民は「地方型」の大半の選挙区でリードしているだけでなく、「都市型」でも7割近くの選挙区を獲得する勢いだ。

 この「都市型」の50選挙区は、政権交代が起きた09年衆院選は民主が44議席を獲得し、自公が政権に復帰した前回12年衆院選では自民が36議席、当時の維新が7議席を獲得。そのときどきの「風」の影響を受けやすい選挙区だ。ところが今回、野党に風が吹いている気配はなく、自民が前回なみの議席を維持する見通しになっている。

 特に、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡など9都府県で、今回調査対象に含まれる68選挙区をみても、自民は優位や、競り合っている選挙区が多く、大幅に議席を減らすことはなさそうだ。この68選挙区は09年衆院選では民主が59議席を獲得したが、前回は自民48勝と巻き返した。選挙の度に大きく振れてきた選挙区でも今回、揺り戻しは起きそうにない。

 自民の勢いの象徴が、前回自民が議席を取れなかった東京15区と大阪13区だ。東京15区では前回、みんなの党(当時)の柿沢未途氏に敗れた秋元司氏が今回はややリード。大阪13区でも自民新顔の宗清皇一氏が、前回議席を獲得した次世代の西野弘一氏をリードしている。

 また、情勢調査に合わせて実施した世論調査で、この2年間の安倍晋三首相の経済政策が成功か失敗か尋ねたところ、「失敗だ」が34%で「成功だ」は28%だった。比例区投票先をみると、「成功だ」と答えた人の69%が自民で、「失敗だ」と回答した人も民主31%や自民27%と分散。安倍首相の経済政策に批判的な民主や共産などが必ずしも批判票の受け皿になっていないことも、自民の議席増につながりそうだ。

■民主、上積みも伸び悩み 「第三極」は苦戦

 「風が吹かない」選挙となり、野党の中でも明暗が際だちつつある。

 民主は政権交代を実現した2009年衆院選の小選挙区で300選挙区中221議席を獲得したが、前回12年衆院選は27議席に激減した。今回はそこから10議席前後上積みする情勢だ。特に、かつての地盤で議席回復の兆しがみえる。

 自民、公明両党が圧勝した05年衆院選でも民主が勝ち越し「民主王国」と呼ばれた北海道。12年衆院選で民主は12選挙区すべての議席を失ったが、鈴木宗男氏が率いる新党大地と連携して選挙戦に臨む今回、北海道3区で優位に立ち、議席奪還の可能性が出てきた。

 同様に09年衆院選で全15選挙区を独占し、民主が地盤にしてきた愛知県。前回は2選挙区しか議席を守れなかったが、今回は愛知2区、11区に加えて5区でも優位に立ち、議席増の可能性が出てきた。

 ただ、全体としてはかつての勢いを取り戻せておらず、目標の100議席には及ばない情勢だ。東京1区の海江田万里代表がやや苦戦しているだけでなく、埼玉5区の枝野幸男幹事長も接戦で、都市部で議席を大きく上積みする勢いはない。

 比例区でも議席を増やして自民に次ぐ第2党の地位を取り戻す見通しだが、09年衆院選の比例区で獲得した87議席のピーク時には遠く及ばない見通しだ。

 民主が伸び悩んでいるのは、候補者を十分擁立できなかったことも影響していそうだ。前回衆院選では民主や第三極政党の候補が乱立し、自民が大勝した反省から、民主は維新や生活などと候補者の「すみ分け」を進め、民主が小選挙区で候補者を立てたのは295選挙区中178選挙区。投票先を挙げた人をみてみると、民主候補がいない選挙区で比例区投票先は「民主」と答えた人はわずか13%。民主候補がいる選挙区の「民主」(21%)よりも少なく、候補者不在で選挙運動が浸透していない可能性もある。

 自民でも民主でもない第三極として、前回ブームに乗った政党は今回、苦戦を強いられている。

 維新は、日本維新の会として戦った12年衆院選の小選挙区で14議席、比例区で40議席を獲得したが、今回は小選挙区で議席を大きく減らしそうだ。特に前回は地盤の大阪府で12勝したが、今回はリードを許している選挙区が多い。前回、維新の松浪健太氏が議席を得た大阪10区は今回、やや苦戦している。維新の松野頼久・国会議員団会長(熊本1区)もやや厳しい。

 日本維新の会から分裂した次世代は小選挙区で公示前の3議席から上積みするのは難しく、比例区では議席を獲得できるか微妙だ。

 こうした中、躍進する可能性があるのが共産だ。特に、無党派層の比例区投票先は9%で、自民、民主、維新に次ぐ4番手につけた。ただ、比例区で20議席を獲得した00年衆院選には及ばなそうだ。

◆グアム移転予算執行

〜在沖縄海兵隊:米議会が凍結解除〜

<毎日新聞 (最終更新 12月04日 00時37分)>

 【ワシントン西田進一郎】米上下両院の軍事委員会は2日、2015会計年度(14年10月〜15年9月)の国防予算の大枠を決める国防権限法案の合意内容を発表した。

 在沖縄海兵隊のグアム移転費について、これまで続いてきた執行凍結条項を削除することで合意。一方、費用上限を87億2500万ドル(約1兆400億円)とする条項を加えた。日米両政府は、グアム移転の進展で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向けた環境整備につなげたい考えだ。

 在沖縄海兵隊グアム移転の足かせとなってきた関連予算の執行凍結が全面的に解除されるのを受け、日本の外務省幹部は3日、「これで前に進める。在沖米軍基地全体の再編に向けた前向きな動きだ」と歓迎した。

 日米両政府は在沖縄海兵隊約1万9000人のうち約9000人を国外に移転する計画で、うち4000人がグアムに移転する予定。移転費用の総額は86億ドルで、日本側は上限28億ドル、米側が残りや追加費用をそれぞれ負担する取り決めだ。

 しかし、米議会では、上院を中心に米軍再編が確実に実施されないのではないかとの懸念が強く、12会計年度以降、グアム移転費は要求額が削除されたり、凍結条項が設けられたりした。日本政府が拠出した資金の執行も大部分が凍結されてきた。上院は15会計年度も凍結条項の維持を主張した。このため、米政府は今夏にグアム移転の工事スケジュールや費用の全体像を示した基本計画(マスタープラン)を提出するなど全面解除を働きかけてきた。

 法案では、米政府の要求通り15会計年度分の移転費5100万ドル(約60億円)を計上。凍結条項は削除する。一方で、上院の懸念に応える形で費用総額の上限を定める規定を設けた。米政府監査院(GAO)が過去に移転費は想定を大きく上回るとの試算を示したこともあり、費用が総額内に収まるかどうかが課題になる。法案は来週中に両院で可決され、大統領が署名して成立する見通しだ。

 また、法案は安倍政権の集団的自衛権の行使容認について「日本がより積極的に地域や世界の平和と安全に寄与できるようにするものだ」として歓迎を表明。さらに「米国は、日本と韓国が相互利益の増進や共通の懸念に対処するため安全保障協力を強化することを歓迎する」とも明記した。

2014年12月03日

◆「地方」「経済」で舌戦

〜与野党幹部、各地へ〜

(2014年12月03日 14時24分  読売新聞)

 衆院選公示から一夜明けた3日、与野党幹部は全国各地で舌戦を繰り広げた。

 安倍首相(自民党総裁)は同日午前、新潟県上越市のJR直江津駅前から、この日の遊説を開始した。首相は「来年3月に北陸新幹線が金沢まで開通する。新潟県にも世界からお客さんがやって来て、おいしいお米を買ってくれるかもしれない。地域の名物の海外輸出も応援していきたい」と述べ、地方の経済再生に取り組む姿勢を強調した。

 公明党の山口代表は、埼玉県川口市の金属部品製造会社を訪れた。経営者が「景気は上向きつつあるが、原材料費などのコスト高に悩まされている」と訴えると、山口氏は「コストを上げる要因を減らすよう支援したい」と応じ、円安対策などを講じる考えを示した。

 民主党の枝野幹事長は千葉県松戸市のJR松戸駅前で街頭演説し、安倍首相の経済政策「アベノミクス」について「正社員が減り、実質賃金が16か月連続で(前年同月比)マイナスだ」と批判したうえで、「強い者に光を当てるのでなく、分厚い中間層を取り戻すことが今求められている政治だ」と政策転換を訴えた。

 維新の党の橋下共同代表は京都市の京都タワー前でマイクを握り、「無駄な公共工事をやるぐらいなら5000万人に10万円の商品券を配ったらいい。これが究極の景気対策『イシンノミクス』だ。維新は第三の道を歩んでいく」と強調した。

◆各党党首 重視政策などを説明

(12月3日 6時57分  NHKニュース)

各党の党首は、衆議院選挙が公示された2日、NHKのニュース7に出演し、各党の重視する政策などを説明しました。

▽自民党総裁の安倍総理大臣は、「2年間の私たちの経済政策、いわゆるアベノミクスを進めていくのか、あるいはやめてしまうのか、それを国民に訴えている。デフレから15年間、いろいろなことをやっても脱却できなかったのは事実だが、今やっと、『デフレではない』という状況を作り出すことができた。私は『この道しかない』、こう信じている」と述べました。

▽民主党の海江田代表は、「働く人たちの雇用を安定させ、子育て世代への支援をしっかり行い、社会保障の制度を安定させて、国民全体の消費を活性化させることで経済をよくしていく。安倍総理大臣の経済政策の考え方と方向性が全然違う」と述べました。

▽維新の党の江田共同代表は、「公務員の人件費を2割カットして5兆円、アベノミクスの第2の矢の公共事業費からも5兆円を捻出して、合わせて10兆円を医療、福祉、介護報酬のアップや子育て支援に回すことが大事だ」と述べました。

▽公明党の山口代表は、「軽減税率の導入について、ようやく『自民・公明両党で目指す』というところまで来た。国民の後押しをいただいて制度設計を成し遂げたい。実務的な準備の議論を加速させたい」と述べました。

▽次世代の党の平沼党首は、「日本人の手で現状に即した憲法をつくっていくべきであり、今の憲法のおかしな歴史的な過程をもっと国民に分かっていただいたうえで、自民党などと協力して達成したい」と述べました。

▽共産党の志位委員長は、「大企業応援から暮らし第一に政策を転換する。消費税に頼らなくても、社会保障を充実させ、財政再建をすることができるので、安心して増税中止の声を上げよう」と述べました。

▽生活の党の小沢代表は、「安倍政権は非正規雇用をさらに多くしようとしているが、これでは将来の身分の保障がない。非正規雇用には制限を加え、同一労働・同一賃金を目指すべきだ」と述べました。

▽社民党の吉田党首は、「集団的自衛権の行使はできないという憲法解釈を変えた点で大きな問題がある。粘り強い外交努力で平和構築をしていくことが今こそ求められている」と述べました。

▽新党改革の荒井代表は、「政権にも野党にも是々非々だ。アベノミクスの効果は認めるが、大企業中心ではなく、家庭を中心に、経済の好循環を回していく」と述べました。

◆第一声 避けたい論点見え隠れ

<毎日新聞 (最終更新 12月02日 22時18分)>

 衆院選が公示された2日の第一声では、各党にとって「できれば争点化を避けたい」論点も見え隠れした。安倍晋三首相は福島県相馬市の第一声で、今夏に世論の批判を浴びた集団的自衛権の行使容認には触れず、外交・安全保障分野はゼロ。消費税10%への引き上げ延期で予定財源が不足する社会保障政策への言及もわずかだった。民主党の海江田万里代表は与党と2012年に合意していた消費増税の先送り容認に転じた手前もあってか、同県いわき市の第一声では「消費税」の言葉を発しなかった。

 首相が第一声で海外の話題に触れたのは、被災地の農水産物の輸入規制撤廃を各国に呼びかけたと説明した時だけ。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉や原発再稼働にも触れなかった。自民党の党是である憲法改正への言及もなかった。首相は18日の解散表明時に集団的自衛権についても「堂々と戦う」と述べた。しかし、7月の閣議決定後に内閣支持率が低下したことから、自民党は選挙戦で深みにはまる事態を避け、衆院選では経済を中心に訴えて勝利し、「信任を得た」と乗り切る構えだ。

 また首相は消費再増税で予定していた社会保障の拡充のうち、子育て支援は予定通り行うと強調。「2年で20万人、5年で40万人の保育の受け皿を作る」と訴えたが、低所得者の年金に5000円を上乗せする新給付金の創設先送りには触れなかった。

 一方、海江田氏は有権者の関心が生活に密着した分野で高いことを踏まえ、集団的自衛権の行使容認には第一声で反対姿勢を示すにとどめた。地方でも反対意見が根強い特定秘密保護法には「安倍政権の危うさ」と批判した。

 ただ、民主党は消費再増税の先送りを容認し、与党から「再増税の時期を示していない」と攻撃されている。海江田氏は第一声でアベノミクスを失敗と断じたが、首相の増税先送りの判断には触れなかった。増税分も財源となる社会保障は「子育て支援、社会保障の安心は政策の柱だ」と述べたものの、今後の代替策は示さなかった。

 公明党の山口那津男代表は第一声で、消費再増税と同時の軽減税率導入に「国民の後押しが必要だ」とアピールしたが、7月の閣議決定で自民党と溝もあった集団的自衛権などの外交・安保には言及がなかった。【佐藤慶、松本晃】

◆自民と民主は被災地で演説

〜維新と公明は首都圏で〜


(2014年12月02日 22時04分  読売新聞)

 衆院選が公示された2日、各党党首は公認候補の応援などに駆け回った。

 福島県相馬市の漁港で第一声を発した自民党総裁の安倍首相。その後は陸路を北に向かい、宮城県山元町などを通って仙台市に。午後3時頃には仙台駅近くの商業ビル前で選挙カーに上がり、同党候補らと「景気の好循環を実感してほしい」と力説した。

 民主党の海江田代表は、福島県いわき市のJRいわき駅前で第一声を上げた後、福島駅前や仙台市内でも街頭演説。夕方には東京都内に戻り、同党候補とスーパーの前に立ち、買い物客らに「個人の懐は温かくならないんです」と言ってアベノミクスを批判した。

 維新の党の江田共同代表は、横浜市の横浜駅西口で選挙戦をスタートさせた。その後は同党の候補が出馬している横浜市や川崎市の6選挙区を次々と訪れ、JR東戸塚駅などの駅前で「身を切る改革ができるのは、我が党だけだ」などと強調した。

 公明党の山口代表は、横浜市の相鉄線二俣川駅前で選挙戦の口火を切った。午後には千葉県に移動し、乗降客が多い千葉、津田沼、松戸の各駅前で「低所得者対策として(消費税の)軽減税率導入を決めた」などと訴えて支持を求めた。

◆国の行方、選択問われる

〜衆院選公示、各地で政策訴え〜

(2014年12月3日01時00分  朝日新聞)

 第47回衆議院選挙は2日公示された。安倍晋三首相が最優先課題に掲げる経済再生のほか、閣議決定で集団的自衛権の行使を認めた安全保障政策のあり方、原発再稼働の是非、国会の定数削減など争点は多い。「この道しかない」と政権への信任を求める与党に対し、野党がどう対抗軸を示すかも注目される。国の行方を誰に託すのか、その選択が問われる。期日前投票は3日から始まり、14日に投票、即日開票される。

 自民党総裁の安倍首相は2日、選挙戦の口火を切った福島県相馬市で、アベノミクスの「効果」を繰り返し説き、成長重視で経済再生をめざすことに信任を求めた。「企業が収益を高めれば雇用は改善し、景気が回復していく。これを繰り返せば生活が豊かになる」

 2日発表の毎月勤労統計調査では、実質賃金が16カ月連続で減少。円安の進行や2四半期連続のマイナス成長など懸念材料も目立つ。首相は復興と経済対策に大半を費やした演説でこう力を込めた。「デフレから脱却するチャンスをようやくつかんだ。チャンスを手放すわけにはいかない」

 首相ら与党側は、経済対策を前面に掲げて「この道しかない」と唱える。対抗する野党はまずアベノミクスの「副作用」に的を絞った。民主党の海江田万里代表は、福島県での第一声で「安倍さんは雇用が増えたと言うが、ほとんどは非正規雇用だ」と主張。共産党の志位和夫委員長も「『この道は危ない』と思っている方が多い」と訴えた。

 ただ、衆院選で問われるのは、政権の経済政策だけではない。自民は公約で原発を基幹的な「ベースロード電源」と位置付け、九州電力川内原発では来年の再稼働に向けて準備が進む。原発依存からの脱却を掲げる各党は、この点でも政権に矛先を向ける。

 維新の党の江田憲司代表は「安倍政権を勝たせると年明けからどんどん原発が動き始める」と指摘。海江田氏も「まるで原発事故がなかったかのようだ」と再稼働路線を批判した。

 安倍政権は7月の閣議決定で憲法解釈を変え、集団的自衛権の行使を認めた。来年には自衛隊の任務を拡大し、米軍への協力を強める安全保障の法整備に着手する。国会審議を経ずに閣議で歴代政権が守ってきた解釈を変えたことには「立憲主義を根本から否定する暴挙」(吉田忠智・社民党首)との批判も上がる。

 知る権利を脅かすとも指摘される特定秘密保護法の制定や、首相らの靖国参拝に象徴される歴史認識問題など、その政治手法やめざす国家像も問われている。(石松恒)

2014年12月02日

◆〈佐賀2区〉知事からくら替え


〜自民新顔・古川氏〜

(2014年12月2日14時05分  朝日新聞)

一票の格差を是正するための「0増5減」で選挙区が3から2に減った佐賀県。新2区には自民新顔で前知事の古川康氏(56)が立候補した。2日、同県唐津市の唐津神社で支持者を前に「アベノミクスの成果を地方に行き渡らせられるかどうかが問われている。12年近い知事としての経験を生かし、地方を良くしていきたい」と訴えた。

古川氏は、連続12回当選後に引退した旧3区出身の保利耕輔氏(80)の後継という位置づけだ。衆院解散を受け、九州電力玄海原発(同県玄海町)の再稼働や佐賀空港への自衛隊オスプレイ配備などの懸案を残したまま、国政をめざす道を選んだ。それだけに、野党などは「県政投げ出しだ」と批判している。

 古川氏は出陣式で「地方創生を国政の場でやらせて欲しい」と有権者に理解を求めたが、原発再稼働やオスプレイ配備には触れなかった。

 一方、古川氏と激突する民主前職の大串博志氏(49)は、同県江北町での第一声で「相手候補が誰であれ、安倍政権の暴走を止める」。2区にはほかに、共産新顔の御厨さとみ氏(33)が立候補し、原発再稼働への反対を訴えている。(原口晋也、松川希実)

◆衆院選きょう公示

〜1184人が立候補へ〜

(12月2日 4時17分   NHKニュース)

第47回衆議院選挙が、2日に公示されます。

NHKのまとめによりますと、1日の段階で、小選挙区と比例代表、合わせて475の定員に対し、1184人が立候補を予定しており、安倍政権の経済政策・アベノミクスの評価を最大の争点に、12日間の選挙戦に入ります。

NHKのまとめによりますと、1日現在で、衆議院選挙に立候補を予定している人は、小選挙区では、自民党が283人、民主党が178人、維新の党が77人、公明党が9人、次世代の党が38人、共産党が292人、生活の党が13人、社民党が18人、諸派や無所属が44人で、合わせて952人となっています。

全国を11のブロックに分けて行われる比例代表に、小選挙区と重複立候補をせず、比例単独で立候補を予定している人は、自民党が69人、民主党が20人、維新の党が7人、公明党が42人、次世代の党が9人、共産党が23人、生活の党が7人、社民党が7人、新党改革が4人、幸福実現党が42人などで、合わせて232人となっています。

この結果、小選挙区と比例代表を合わせた立候補予定者は、1日の段階で1184人で、前回、おととしの衆議院選挙の候補者数を320人下回っています。

立候補の受け付けは、小選挙区については各都道府県の選挙管理委員会で、比例代表は総務省にある中央選挙管理会で、午前8時半から行われます。

今回の選挙は、小選挙区が5つ削減され、小選挙区295、比例代表180の、合わせて475議席を巡って争われます。

そして、安倍政権の経済政策・アベノミクスの評価を最大の争点に、与党側は過半数を確保したうえで安定した国会運営が可能な議席を維持したいとしているのに対し、野党側は与党に対抗できる勢力を築くことを目指すとしており、今月14日の投票日に向けて、12日間の選挙戦に入ります。

◆争点化に同意でも評価は分散

〜アベノミクス私は問う〜

(2014年12月2日05時35分  朝日新聞)

 衆院選が2日、公示される。本格的な選挙戦前の11月27日夜に朝日新聞デジタルに設けた投稿マップには1日夜までに、約620件の意見が寄せられた。投稿が最も多かったのは「争点はアベノミクスじゃない/投票する」の約380件。一方、安倍晋三首相の設定通り、「争点はアベノミクス/投票する」としたのは106件だった。ただ、争点化に同意した投稿を読み解くと、経済政策への評価は分かれた。

「政策に本気を感じます」。東京都渋谷区の会社員石山安珠(あんじゅ)さん(25)は他党の施策も読み比べて、アベノミクスを支持する。評価するのは、女性活躍や若者の育成など「人材」に着目し、投資しようとしている点だ。

 人材採用支援に携わり、一企業で定年まで正社員で働き続ける雇用形態の難しさを感じている。国内は人口も経済も爆発的に伸びる見通しが薄い。だから施策も取捨選択が必要だと思う。「子どもや高齢者を目玉にするのではなく、もっと働く年齢層に重きを置いてほしい」と注文もつけた。

 石山さんはまた、「幸せ」の価値観も変化が必要と言う。「他人との比較ではなく、個人の納得で実感するようになればいい。アベノミクスが進めば、そんな社会が実現しやすいと思います」

 シンガポールで会社を経営する木島洋嗣さん(39)も支持派だ。「デフレから脱却するため、他に手段はない。名目賃金の上昇や旅行収支の黒字化など効果も出ている」と評価する。ただ「第3の矢」の規制緩和などによる成長戦略は「自民党でも大阪府連などの反対もあり、進んでいない点もある」と指摘。この部分では野党の維新を評価する。消費増税の延期は「現在の景気状況では仕方がない」と納得している。

 一方、アベノミクスの内容や政権が強調する実績に批判的な声は、支持派をやや上回った。「大企業のみが優遇される」「やっている施策は格差を拡大するものばかり」「地方経済は疲弊したまま」――。多いのは恩恵は一部だけという指摘だ。国民の側から実態と生の声を発信する必要性を訴える投稿もあった。(吉浜織恵、古田大輔)

■小黒一正・法政大准教授(公共経済学)

 争点はアベノミクス。より正確に言えば、財政破綻(はたん)を避けるためにどうするかです。

 消費増税の延期は、リーマン・ショックのような事態が起こらない限り賢明な選択ではなかった。

 国の借金が1千兆円を超える財政の深刻さを考えれば、2015年に10%でも遅いし少ない。高齢化で社会保障給付費は毎年約3兆円増えます。消費税率1%分の税収アップは2・5兆円を上回る程度です。

 アベノミクスや増税延期の支持者には、財政再建のためにも景気回復を優先すべきだという人もいます。では2年後に本当に景気が回復し、増税できるのか。

 財政再建には三つの手法しかありません。増税、歳出削減、経済成長。経済成長に頼る財政再建はギャンブルですし、それだけではとてもまかなえない。

 結局、増税と歳出削減しかありません。問われているのは「いまの痛みか、それとも、近い将来のより大きな痛みか」の選択です。

 「財政破綻なんて起きない」という人もいますが、財政破綻した国の例はいくつもあります。

 「国家は破綻する」の著者ラインハート氏のデータベースによると、19世紀から最近までに政府債務が対GDP比60%以上となった64例のうち38例が破綻、うち13例は先進国でした。

 日本はすでに200%を超えており、敗戦直前以上です。敗戦直後、政府は債権に100%の税を課し、借金を帳消しにしました。

 今日が大丈夫だから、明日も大丈夫なわけではない。残された時間は長くありません。(聞き手・古田大輔)

     ◇

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( 吉浜織恵、古田大輔)