2015年05月27日

◆集団的自衛権の国会審議

〜記者の目:青木純(政治部)〜

<毎日新聞 2015年05月27日 東京朝刊>

 ◇日米関係変化、説明を

 集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案の審議が国会で始まった。憲法との関係や、どのような場面で行使が容認されるのかなどが焦点になりそうだ。それらと共に、国会でしっかりと議論してもらいたいことがある。行使できるようになることで、戦後日本に大きな影響を与えてきた日米関係が大きく変わるという点だ。

 集団的自衛権は、自分の国が攻撃されていなくても、自国と深い関係にある他国が攻撃を受けた場合に助けに行くことができる権利だ。日本はこれまで、「戦力を持たない」などと定めた憲法の下で、自国が攻撃されたとき以外は武力を使えないという制約を設けてきた。このため、日本の防衛政策の根幹である日米同盟は、米国が日本を防衛する義務を負い、日本は米軍に基地を提供するという基本構造になっている。

 ◇対等な関係構築考えた岸元首相

 半世紀以上前、この構造に疑問を抱き、集団的自衛権の行使が可能になれば、米国が日本を守り、日本が米国を守るという対等な関係を築けると考えた人物がいた。それが安倍晋三首相の祖父、岸信介元首相だ。

 岸氏は1960年、日米の安全保障協力の枠組みを定めた日米安保条約を改定した。改定により、米国の日本防衛義務と日本の基地提供義務を明記。日本が国防費を抑え、高度経済成長を達成する基盤になった。

 しかし、日米関係を対等にし、日本を「真の独立国家」にしたいと考えていた岸氏が目指した「米国が日本を守り、日本も米国を守る条約」を結ぶことはできなかった。壁となったのが集団的自衛権の問題だ。岸氏は「日米対等の意味における真の相互防衛条約を日本が履行しようとすれば、今の憲法は不適当だ」(原彬久編「岸信介証言録」)と語っている。

 その集団的自衛権について、今の憲法の下でも「日本の存立が脅かされる危険がある」など一定の条件を満たせば使えるとしたのが昨年7月の政府の閣議決定だ。法律が整備されれば、実際に行使が可能になる。節目節目で岸氏への尊敬を示してきた安倍首相が、岸氏が思い描いた「対等な日米関係」を強く意識しているのは間違いない。

 ところが安倍首相は、岸氏が目指した「対等な日米関係」や「真の独立国家」と今回の行使容認の関係について、多くを語っていない。中国の台頭や北朝鮮の核・ミサイル開発を念頭に、安全保障環境が厳しさを増しているため、米国など各国との連携を強化して国民の命を守らなければいけない、との説明を繰り返している。

 そうした主張自体は間違っているとは思わないが、今回の安保関連法案が成立して集団的自衛権の行使などが可能になったとしても、それだけで国民の命が守られるわけではない。

 ◇自国の平和と安全どう守る

 「対等な日米関係」を目指すならば、日本も米国の求めに応じて応分の役割を果たさなければならなくなる。「真の独立国家」と言うならば、独力なのか他国と協力するのか、平和的な手段か軍事的な手段かも含めて、どうすれば自分たちの平和と安全を守れるかを常に考えなければならなくなる。

 安倍首相は法案を閣議決定した14日の記者会見で「安保条約を改定した時もPKO(国連平和維持活動)協力法を制定した時も『戦争に巻き込まれる』と批判が噴出した。しかし、批判が的外れだったことは歴史が証明している」と力を込めた。

 だが、安保条約改定への反対には、国会での強行採決に対する批判も大きな割合を占めていた。岸氏は「証言録」の中で「新条約を調印した後、国会を解散して国民の意思を聞いておくべきだった」と述べている。強行採決で「非民主主義的」という批判を浴びた岸氏も、自国の平和と安全をどう保つかという問題については、国民の理解を得るべきだったと考えていた。

 首相には「歴史が証明する」などと言ってほしくない。日米関係が変われば、日本の国のあり方も確実に変わっていく。国際社会の問題に日本が直接向き合わなければいけない状況や、米国に対してイエス、ノーをはっきり言わなければいけない状況はこれまで以上に増えていく。その判断の責任は首相だけではなく、我々国民も負うことになる。

 大切なのはどんな法律を定めるのかよりも、その法律を使う国民の意識のあり方だ。首相には、国民と共に歴史を作っていく努力をしてほしい。そのために、国会審議では自らの問題意識を真正面から語ってもらいたいと思う。

◆ドローン新法成立へ

〜官邸・国会上空などの飛行を禁止〜

(2015年5月27日08時10分   朝日新聞)

 首相官邸や国会などの上空をドローンが飛行することを禁ずる新法「小型無人機飛行禁止法案」が、今国会で成立する見通しになった。自民党や公明党に加え、民主党も26日、法案に賛成する方針を決めた。早ければ29日にも議員立法として国会に提出される。

 新法は官邸や国会、皇居などの上空を小型無人機が許可なく飛行することを禁じ、違反した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金とする。

◆機雷掃海、海外派兵の例外

〜安保法案審議で首相〜

(2015年05月27日 03時04分  読売新聞)

 安倍内閣が今国会で最重要課題に掲げる安全保障関連法案が26日の衆院本会議で審議入りし、論戦が始まった。

 安倍首相は、集団的自衛権の行使の一環として自衛隊が行う機雷掃海について、「外国の領域で行うものであっても、(自衛のための)必要最小限度のものとして、(自衛権行使の)新3要件を満たすことはあり得る」との見解を示した。

 首相は答弁で、「武力行使の目的で武装した部隊を他国領土に派遣するいわゆる『海外派兵』は一般に自衛のための必要最小限度を超え、憲法上許されないと判断している」とする一方、機雷掃海については「実態は水中の危険物から民間船舶を防護し、安全な運航を確保することが目的で、性質上あくまでも受動的かつ限定的な行為だ」と述べ、「海外派兵の例外」との解釈を示した。

 首相はまた、集団的自衛権の行使が可能となる「存立危機事態」が成立する条件について、「我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民が被ることになる犠牲の深刻性、重大性などから客観的に判断する」と説明。具体例として、「ある生活物資が不足することをもってのみ該当するものではない。石油などのエネルギー源の供給が滞ることにより、生活物資の不足や電力不足によるライフラインの途絶など、国民生活に死活的な影響が生じるか否かを総合的に評価する」と述べた。

 一方、自衛隊の海外活動の拡充に伴う自衛隊員のリスクについては「(法案に)隊員のリスクを極小化するだけの措置をしっかり規定している」と答弁。首相は、日本を取り巻く安保環境が厳しさを増していることも挙げ、「切れ目ない法制と日米同盟の強化で抑止力が高まれば、日本が攻撃を受けるリスクが下がる」と強調した。20日の党首討論で首相は、法案について「リスクとは関わりがない」と述べるにとどめたが、見解を補足した。

2015年05月26日

◆安保関連法案、審議入り

◆安保関連法案、審議入り
〜衆院本会議で〜

(2015年05月26日 14時10分   読売新聞)

 集団的自衛権の限定的な行使を可能にすることなどを柱とした安全保障関連法案は26日午後の衆院本会議で安倍首相が出席して趣旨説明が行われ、審議入りした。

 政府・与党は6月24日までの会期を延長し、今国会で成立を図る構えだ。民主党など野党は、集団的自衛権の行使の範囲や、自衛隊の海外での活動拡大に伴うリスクなどを追及する構えだ。

 審議入りした安保関連法案は、自衛隊を随時海外に派遣できるようにする新法「国際平和支援法案」と、自衛隊法など10の現行法改正案をまとめた「平和安全法制整備法案」の2本立てとなっている。

 26日午後の衆院本会議では中谷安全保障法制相が法案の趣旨説明を行った後、自民党の稲田政調会長や民主党の枝野幹事長、維新の党の太田和美氏、公明党の佐藤茂樹氏、共産党の志位委員長が質問に立つ。稲田氏は、安全保障環境の変化への対応や、自衛隊派遣の際の国会承認の意義について首相の見解を問う。

◆「総理と私、矛盾ない」 

〜安保法制めぐり防衛相が反論〜

(2015年5月26日16時20分   朝日新聞)

 中谷元・防衛相は26日の閣議後の記者会見で、安全保障法制に関して安倍晋三首相との発言の食い違いを野党が指摘していることについて「総理が述べたことと私が申し上げたことには全く矛盾がない」と述べた。野党の「支離滅裂だ」との批判に反論した。

 中谷氏は「海外派兵の答弁も、存立危機事態の憲法上の問題もしっかりと整合性が取られている」と説明した。他国領域での武力行使について、首相が20日の党首討論で「武力行使を目的として海外の(他国の)領土や領海に入っていくことは許されない」と述べ、機雷除去を「例外」と強調したのに対し、中谷氏は武力行使の新3要件に当てはまれば可能と説明するなど、表現に違いがある。

◆野党、海外の武力行使追及

〜安保法案が審議入り〜 

 集団的自衛権行使の法制化など自衛隊の海外活動拡大を図る安全保障関連法案は26日午後、衆院本会議で審議入りした。安倍首相は各党の質問に答え、成立に意欲を表明する。民主党など野党は、他国領域での自衛隊の武力行使をめぐる首相と中谷防衛相の発言に食い違いがあると追及し、徹底した審議を要求。与野党の激しい論戦が幕を開けた。

 これに先立ち中谷氏は記者会見で、武力行使をめぐる首相と自身の発言に「全く矛盾はない」と反論。自衛隊員の安全性について「今回の法改正でも従来と同様のリスクがある」と述べ、リスク増はないとの認識を重ねて示した。

<2015/05/26 13:35 【共同通信】>

◆安保関連法案きょう審議入り

〜本格論戦へ〜

(5月26日 5時58分    NHKニュース)


後半国会の焦点となる安全保障関連法案が26日、衆議院本会議で審議入りし、本格的な論戦が始まります。審議では、他国の領域で集団的自衛権を行使する可能性や、法整備によって自衛隊員のリスクが高まるのかどうかなどを巡って論戦が交わされる見通しです。

安全保障関連法案は、歴代内閣が認められないとしてきた集団的自衛権の行使を可能にするほか、国際社会の平和と安全を目的とする後方支援を、新たな恒久法で定めることなどが盛り込まれています。

法案は26日に開かれる衆議院本会議で、安倍総理大臣も出席して趣旨説明と質疑が行われ、審議に入り、本格的な論戦が始まります。

審議入りを前に安倍総理大臣は、25日の自民党の役員会で「安全保障法制の整備によって自衛隊員のリスクが高まるといった、木を見て森を見ない議論が多い。切れ目のない法整備によって抑止力を高め、国民の安全のリスクを低くするための法案であり、本質的な議論をしっかりやっていきたい」と述べました。

政府・与党は、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増すなか、あらゆる事態に切れ目なく対応できるようにするため、来月24日までの今の国会の会期を延長してでも法案を成立させる方針です。

これに対し野党側は、25日に民主党と維新の党の幹事長が会談し、安全保障関連法案は戦後の安全保障政策を大きく転換させるものだとして、与党側に徹底した審議を求めるため協力していく方針を確認しました。

そして民主党は、枝野幹事長が、集団的自衛権の他国の領域での行使を巡って「法案の審議に入る前から総理大臣と担当大臣の言っていることが支離滅裂になっている」と述べたほか、中谷防衛大臣兼安全保障法制担当大臣が、自衛隊員のリスクが高まることはないという認識を示したことを強く批判していて、政府側の認識を厳しくただしていく構えです。

26日からの審議では、集団的自衛権の行使が可能になる「存立危機事態」であると判断する具体的な基準や、外国軍隊への後方支援で活動可能な範囲が拡大することなども焦点に、論戦が交わされる見通しです。

2015年05月25日

◆衆院議員資産 公開


〜平均3463万円、上位10人は自民〜

(2015年5月25日11時56分   朝日新聞)

昨年12月の衆院選で当選した国会議員475人分の資産が25日、公開された。資産額の平均は増えているが、全体を押し上げたのはごく一部の自民党議員で、自民党と民主党の「格差」が広がっている傾向が浮かび上がった。

 資産公開法に基づいて公開された資産報告書からわかった。朝日新聞の集計では、土地と建物の課税標準額、預貯金、株式を除いた有価証券を合計した「資産額」の1人あたりの平均は、3463万円だった。前回2013年の公開時点より、235万円増えた。

 資産額の平均は1993年の制度開始以来、減少傾向が続いていた。しかし、民主党から自民党に政権交代し、77万円の増加に転じた前回に引き続き2回連続で増加した。定数の6割を占める自民党の平均が4704万円と、前回より596万円増え、2010年(5018万円)に近い水準に戻りつつあるためだ。

 上位10人はいずれも自民党で、1位の鳩山邦夫氏は30億6520万円。前回より10億6636万円増やし、1人で全体の平均を224万円押し上げた。増加額最大も鳩山氏で、高木宏寿氏(自民)、平井卓也氏(同)が続いた。3人だけで、前回より総額18億3930万円増加していた。

 一方、民主党の平均は1351万円で、前回の1322万円とほぼ同じ水準だった。自民党と民主党の平均の開きは、前回の2786万円より拡大し、3353万円。株式の公開対象が銘柄と株数だけになり、価値が全く反映されなくなった04年以降最大となった。

 公開対象は任期が始まった時点(昨年12月14日)での議員本人の資産だが、預貯金は定期のみで普通預貯金は含まれない。閣僚の資産公開と違い、家族名義の資産も対象外だ。土地や建物の公開価格は固定資産税の課税標準額で、実勢価格を反映していない。虚偽記入に対する罰則もないため、実効性が疑問視され続けているが、抜本的な見直しの動きは起きていない。(二階堂友紀)

■上場株所有は132人、時価254億円

 衆院議員475人の資産報告書によると、日本の証券市場に上場する株を持つのは自民94人、民主18人、維新8人、公明6人など132人で、前回2年前の資産公開に比べ15人減った。ほかに25人が非上場株や外国株だけを持つ。

 報告書に記載された上場株について、朝日新聞が今月22日の終値で計算したところ、時価総額は約254億5千万円。2年前の前回資産公開時(13年5月24日終値)と比べると、所有議員数が減ったにもかかわらず、約64億円増えていた。

 保有株の時価総額の上位20人は、民主の岡田克也氏(三重3区)を除き自民の議員だった。前回に続き1位の鳩山邦夫氏(福岡6区)が約205億円で保有者分の8割を占めた。鳩山氏を除く平均額は約3773万円で、前回公開時点より約800万円増えた。

 日経平均株価は、13年5月24日は1万4612円だったが、今月22日は2万264円と上昇傾向にある。(贄川俊)

◆安保法案「反対」53%


〜内閣支持率45%:毎日新聞調査〜

<毎日新聞 (最終更新 05月24日 23時25分)>

 毎日新聞は23、24両日、全国世論調査を実施した。集団的自衛権の行使など自衛隊の海外での活動を広げる安全保障関連法案については「反対」との回答が53%で、「賛成」は34%だった。安保法案を今国会で成立させる政府・与党の方針に関しても「反対」が54%を占め、「賛成」は32%。公明支持層ではいずれも「反対」が「賛成」を上回った。安倍内閣の支持率は45%で4月の前回調査から2ポイント減。不支持率は36%で同3ポイント増だった。

 自民支持層では6割が安保法案に「賛成」と答え、「反対」は3割だった。これに対し、公明支持層では「反対」が4割強、「賛成」が4割弱。民主支持層は「反対」が7割に達した。維新支持層は「賛成」「反対」がともに4割台で拮抗(きっこう)している。「支持政党はない」と答えた無党派層では「反対」が7割近くあった。

 安保法案の今国会での成立についても、自民支持層では「賛成」が6割で、「反対」は3割にとどまったのに対し、公明支持層は5割近くが「反対」と回答し、「賛成」は4割弱だった。民主支持層は7割が反対。法案への賛否が分かれた維新支持層は、今国会成立には6割が反対した。

 質問が異なるため単純に比較できないが、3月と4月の調査でも安保法案の今国会成立には過半数が反対している。政府・与党は26日から始まる国会審議で法案の内容を丁寧に議論する姿勢をみせているが、説明が不十分なまま日程消化を優先させれば、世論の批判が高まる可能性がある。

 安保法案に賛成する層では84%が今国会での成立に賛成した。逆に法案に反対する層では90%が今国会成立に反対。内閣支持層は59%が法案に、56%が今国会成立にそれぞれ賛成した。

 安倍晋三首相が4月末、米議会上下両院合同会議での演説で先の大戦への「痛切な反省」を表明したことに関しては「評価する」が58%に上り、「評価しない」は27%だった。内閣支持層では「評価する」が80%に達したが、不支持層では「評価しない」(46%)が「評価する」(38%)を上回った。

 来年夏の参院選後に憲法改正を目指す自民党の方針を「評価しない」は44%で、「評価する」の41%よりやや多かった。自民支持層では「評価する」が7割だったのに対し、公明支持層では「評価しない」が5割を超えた。改憲を巡っても両党支持層に温度差がうかがえる。無党派層は「評価しない」が6割だった。

2015年05月24日

◆日中双方が関係改善へ努力を

〜二階総務会長〜

(5月24日 19時29分   NHKニュース)

自民党の二階総務会長は訪問先の北京で記者会見し、日中関係について、対話を通じて関係改善を図るよう双方が一層努力すべきだという考えを示しました。

今月20日から中国を訪れている自民党の二階総務会長は23日夜、日本の民間企業の幹部や地方自治体のトップらおよそ3000人の訪問団と共に、北京の人民大会堂で開かれた中国の政財界関係者との交流会に臨み、習近平国家主席も出席しました。

これについて、二階氏は24日の記者会見で、「習近平国家主席からは、日本と中国が仲よくやっていこうという意味を込めた発言があった。日本も真摯(しんし)に応えていくことが大事だ。もっと同じレベルに立って、真剣な話し合いがなくてはならない」と述べ、対話を通じて日中関係の改善を図るよう、双方が一層努力すべきだという考えを示しました。

また二階氏は、交流会の席上、安倍総理大臣から託された親書を習主席に手渡したことについて、「親書を手渡して、その反応がどうであったかを安倍総理大臣に電話で報告した。安倍総理大臣も注目していただけに、喜んでいた」と述べました。

さらに二階氏は、安倍総理大臣が戦後70年のことし発表する「総理大臣談話」を巡って、「安倍総理大臣は、日中関係が大事なことは分かっている。世界的にも注目されており立派な談話になることを期待している」と述べました。