2019年09月19日

◆原発事故 東電旧経営陣3人全員に無罪判決

東京地裁

2019年9月19日 14時50分  NHKニュース

福島第一原発の事故をめぐり東京電力の旧経営陣3人が強制的に起訴された裁判で、東京地方裁判所は3人全員に無罪を言い渡しました。


無罪を言い渡されたのは東京電力の勝俣恒久元会長(79)、武黒一郎元副社長(73)、武藤栄元副社長(69)の旧経営陣3人です。

3人は福島第一原発の事故をめぐって検察審査会の議決によって業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴され、いずれも無罪を主張していました。

判決で、東京地方裁判所の永渕健一裁判長は3人全員に無罪を言い渡しました。法廷では判決の読み上げが続いています。

今回の裁判で、検察官役の指定弁護士は、有力な証拠として東京電力で津波対策にあたっていた元幹部の供述調書を提出していました。勝俣元会長らが出席する会議で新たな津波対策を取る必要があることを報告したという内容でしたが、これについて判決は「会議で報告したのではなく、資料を配付しただけで了承されたと、本人が推測している可能性がぬぐえず、信用性に疑いがある。この会議で国の地震対策である長期評価を津波対策に取り込むことが了承されたという事実は認められない」と判断しました。

判決の言い渡しは夕方まで続く見込みです。


判決 法廷内では
東京電力の旧経営陣3人は堅い表情で法廷に入り、弁護士の隣に並んで座りました。

裁判が始まると、旧経営陣3人は裁判長に促されて法廷の中央にある証言台の前に並んで立ちました。

冒頭で裁判長が「被告人らはいずれも無罪」と主文を読み上げると、3人は裁判長のほうをまっすぐに見据えて聞いていました。そして裁判長に向かって小さく頭を下げ、再び弁護士の隣に座りました。

主文が言い渡された際、傍聴席からは「うそ」などと声があがり、法廷内は一時、騒然としました。また検察官役の指定弁護士は額に手を当てて厳しい表情を浮かべていました。


地裁前では「納得いかない」の声
判決を受けて東京地裁の前では、今回の裁判のきっかけとなる告訴や告発を行ったグループのメンバーが「全員無罪 不当判決」と書かれた紙を掲げると、集まった支援者たちからは「どうしてなんだ、納得いかない」といった声が上がっていました。

紙を掲げた1人で、福島県大熊町から新潟県阿賀野市に避難している大賀あや子さん(46)は「なぜ、全員無罪という判決が出たのか、しっかり聞かないといけない。とても悔しいです」と落胆した様子で話していました。


刑事告発したメンバー「闘い続ける」

旧経営陣を刑事告発した市民グループのメンバーで福島市から京都に避難している宇野朗子さんは無罪判決について「こういう結果になるとは想像していなかったので納得できない。子どもたちに恥ずかしくない国にするためにこれからも闘い続けていきたい」と涙ながらに訴えていました。

また、福島市の佐々木慶子さんは「原発事故で双葉病院の44人も含めて多くの人が犠牲になったほか、いまだに避難を続け、苦しんでいる人がたくさんいる。今回の判決ではこうしたことが考慮されず国民を踏みにじる偏った判決だと思う。裁判所にはもっと公正な判断をしてほしかった」と話していました。


双葉町長「全町避難の現状 よく認識を」

福島第一原発が立地し、いまもすべての地域に避難指示が出されている双葉町の伊澤史朗町長は「訴訟に関するコメントは差し控えるが、東京電力には原発事故による全町避難がいまだに継続している町の現状をよく認識し、事故の原因者の責務として賠償や町民の生活再建、町の復興などの様々な課題に誠実に取り組むよう強く求める」というコメントを発表しました。

福島県の内堀雅雄知事は「訴訟に関することであり、コメントは差し控えたい。東京電力はあらゆるリスクを想定し、福島県民の安全・安心を最優先に廃炉に向けた取り組みを着実に進めて欲しい」というコメントを発表しました。


東京電力「原発の安全対策に不退転の決意」

判決について東京電力は「福島県民の皆さまをはじめとする多くの皆さまに大変なご迷惑とご心配をおかけしていることについて、改めて、心からお詫び申し上げます。当社元役員3人の刑事責任を問う訴訟について、 当社としてコメントは差し控えさせていただきます。当社としては、『福島復興』を原点に、原子力の損害賠償、廃止措置、 除染に誠心誠意、全力を尽くすとともに、原子力発電所の安全性強化対策に、不退転の決意で取り組んでまいります」というコメントを発表しました。
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