〜市立堺病院の移転提言
相次ぐ大型事業、「二重投資」の批判も〜<読売オンライン>
救命救急センターの整備が頓挫した堺市堺区の市立堺病院について、有識者らでつくる堺市の検討懇話会(座長、井上通敏・府立病院機構名誉顧問)が、病院の移転とセンターとの一体的な整備を提言した。
現病棟は完成から12年しかたっておらず、移転は巨費を伴うだけに「二重投資」とも言われかねない。それでも懇話会がセンターを必要とするのは、府南部の救急医療態勢の整備が遅れている現状が背景にある。(阿部健)
「病院は市の中心部にあってほしい。建物もまだ新しいし、移転しなくてもここで十分じゃないの」
堺市中心部を貫く国道26号の高架脇に立つ市立堺病院。入院する夫(77)の見舞いに訪れた堺区内の主婦(76)が首をかしげた。
地上8階、地下2階、493床の延べ約4万3000平方メートルで、主に入院や手術が必要な患者を扱う2次の救急医療を担う。1996年に完成した巨大な病棟の壁に目立った汚れは見あたらない。建設には244億円を投じ、今も借金が約160億円残る。
移転整備には数百億円の支出が必要になる見込みだが、懇話会は「新たに用地を確保して、現病院機能を(センターと)一体的に移転する方向で検討すべきだ」と求めている。
◆府内の救急医療態勢は<北高南低>の状態が続く。府内にセンターは13か所あるが、大阪市を除いた淀川以北(人口約175万人)が3か所に対し、大和川以南(同約240万人)は近大(大阪狭山市)と府立泉州(泉佐野市)の2か所にとどまる。
医療法に基づく府内八つの2次医療圏のうち、センターがないのは堺市が単独で構成する「堺市医療圏」だけだ。センターは法的に都道府県が確保に取り組む責務があり、市は府に整備を要望してきたが、コスト面などから実現しなかったという。
周辺の2次医療圏の救急医療態勢も脆弱(ぜいじゃく)だ。「泉州医療圏」では救急病院が4年前から3か所減の19病院となり、11月から吐血と下血、脳卒中の患者は当番病院が原則受け入れる府内初の当番制を始めている。
「南河内医療圏」では1年前、受け入れを拒否された富田林市の女性(当時89歳)が死亡。救急病院は4年前より6か所減の22病院だ。府立泉州救命救急センターの松岡哲也所長は「救急患者の急増で現場は疲弊し、放置すれば崩壊しかねない」と訴える。
センターの整備が頓挫した後の8〜9月、堺市が高石、和泉、泉大津の隣接3市に整備への意見を求めたところ「近隣市民の安心も確保される」「救急医療は不十分でぜひ実現して」と期待する声が寄せられたという。
2008年12月15日
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